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坂口志文・大阪大特別栄誉教授らによる昨年のノーベル生理学・医学賞受賞で社会的な注目が集まった「制御性T細胞」は、免疫の過剰反応を抑えるブレーキ役だ。理化学研究所や東京医科大などの国際共同研究チームは6月、制御性T細胞が腸でどのように生まれるのか、その仕組みの一端をマウスで明らかにし、学術誌に報告した。
さらに研究チームは、その仕組みを人為的に操作して、マウス体内で制御性T細胞を増やせることも示した。この成果は、炎症性疾患や食物アレルギーの治療、移植医療での拒絶反応抑制への応用につながると期待されている。
制御性T細胞は、免疫反応を抑える働きを持つ。体の外から入ってくる病原体には免疫が反応する必要がある一方、本来攻撃する必要のないものにまで反応すると体に害が及ぶ。免疫で、相手に対して過剰に反応しないことを「免疫寛容」という。
制御性T細胞は免疫寛容を支える重要な細胞だ。腸は、免疫寛容がとりわけ重要な場所である。腸管には免疫が攻撃してほしくない相手がたくさんいる。食べ物由来の成分や腸内細菌は、体の外から入ってきたり体内にすんでいたりするが、健康のため有用だったり無害だったりするものは多い。
免疫がこれらに過剰に反応すれば、炎症や食物アレルギーの恐れがある。今回の研究で、腸内で制御性T細胞が効率的に生まれる仕組みと、それを人為的に操作できる可能性が示されたことで、将来的な治療法開発への道が開かれた。